2022-5-3 ゆうがたゲームオーバー

予定を無視して電車に乗って、過去からも未来からも目先のことからも逃げ続けている。いつかきっと辿り着いてしまう終点が、寂しい場所じゃないといい。僕たちはきっと大丈夫だって、何度も何度も反芻しながら、目を閉じながら前へと逃げる。

日記を書くのは久しぶりで、だからまずは空を見上げた。僕はいつも空のことを書いていた気がする。雲の形が変わるみたいに、僕を取り巻く環境はすごい速さで変化した。変わらないものは信念だけで、それが皮肉みたいだった。「人生に一貫性は必要なくて、ただ今の選択を信じればいい」どうしようもなかった選択も、いつかの逸話にしてあげる。僕たちはきっと大丈夫だよ。

ゆうがたゲームオーバー〈@yugatagameover〉というサークルで、5月29日の文学フリマに出展する。場所は東京流通センターで、チ-13のブースにいる。よかったら遊びにきてね。世の中のことは分からないから、だから必死で記憶をメモする。僕はいろんなことを忘れてしまって、忘れたくないから詩を描いている。その記憶が優しく蒸留されて、いつかのきみの力になるといい。いつかの僕の力になるといい。

正解も不正解もない世界で、確かなものを探している。いつも探すふりをしている。同調も自由もない世界で、世界の平和を祈っている。きみの平穏を祈っている。僕たちはきっと大丈夫だよ。雲が流れて消えていく。雲ひとつない手に余るような青空が、ちょっとだけ怖かった。そういうことを思いながら、空を見上げる。

2021-12-4 久しぶりに星をみた

星が綺麗だった。空が晴れても雨は降っていて、それが自然みたいに時が流れた。ぽつぽつと体に落ちる小さな雨粒は、体が麻痺してるみたいな感覚だった。今日も散歩をしています。僕は毎日散歩してるけど、散歩をすると少し楽になる。ベンチに座る。ベンチの隅の錆びた鉄は、過ぎ去ってしまったどうしようもなさが形になったみたいだった。少し寂しくなる。同時に優しい気持ちになって、なんで優しい気持ちになるのかな。今日は一段と寒い日で、吐いた息がしばらく残った。息は白には見えなくて、ため息と同時に灰色に濁る。しばらく休憩をして、また歩き始める。僕は帰らないといけない。散歩はそういうものだから。

星が綺麗だった。空が綺麗だと思うのは、なんか久しぶりな気がした。いろんな気持ちを吸い込んで、何事もなかったかのように輝く。星の意味が分かりかけて、結局何も分からなかった。手足が冷たい。誰も歩いてない道を侵略するみたいにゆっくり歩く。もしも明日地球が終わるとして、それでも前を向たいって思う。もしも明日も地球が続くなら、なるべく大きな音で音楽を聴きたい。明日のことは分からないから、大きな音で音楽を聴きながら前を向いています。僕たちは本当によくやっている。

最近月をみていなかった。空が曇っていたのもあるし、月をみるような気分じゃなかった。だから今日は探そうと思って、ぐるっと一周見渡した。プラネタリウムみたいな空だった。黒に穴は空いていなくて、星だけが綺麗に光っていた。月って3日前になくなったんだっけ。元々月なんてなかったみたいな空は高くて、呼吸の音と音楽が響く。あまりに世界が静かすぎて、遠くの星まで音楽が漏れていたらどうしよう。あまりにも寒くて、温かいものが飲みたくなった。家に帰ったらスープでも飲む。そしたら世界に音が戻って、きっと明日は月も顔を出す気がした。

2021-12-3 僕たちはきっと

金魚の夢をみた。

僕のなかの不甲斐なさややりきれなさは、どうやら金魚の形をとる。今日は少し疲れていて、午後からの予定を休みにした。それからずっと眠っていて、金魚の夢をみた。僕は海岸を歩いていて、その海岸は酷く寂しい場所だった。環境音がなくしんとして、小綺麗さが不気味だった。知らない人が等間隔に立っていて、水平線の先をみてた。誰も少しも動かなくて、僕が並ぶスペースも空いていた。まだ歩きたいって思ったから、その一員になるのはやめた。

しばらく歩いていると、海岸はぐちゃぐちゃになってくる。地球の岩石が露出して、あり得ない場所に木が生えていた。そのとき僕はマムシが怖くて、歩く速度があがっていく。どこかにマムシがいたわけじゃないけど、どうしてもマムシが怖かった。

注意深く歩いていると、岩の隙間には金魚がいた。どうやって入り込んだのか、水はなくてピチピチ跳ねていた。跳ねるだけ無駄だと思って、悲しかった。でもどうしても助ける気にはなれなくて、映像をみるみたいに眺めた。その行動は水平線の先をみてた人々を想起させた。

金魚は粘った。ずっとずっとひたすら跳ねて、ついに偶然をものにした。何かの拍子で隙間からでて、そのまま近くの池に落ちた。池のなかには他の金魚もいて、隙間の金魚は目的を達成したのだと思った。もう一度隙間をみてみたら、隙間はさっきより大きくなってて、別の金魚が跳ねていた。大きな金魚で、それでもいつか隙間からでるのだろうと思った。意味のない行為の象徴みたいで、意味のなさに落ち着いた。僕はずっと苦しかった。

今日の日記は休もうと思っていた。目覚めた僕に金魚は住み着いて、金魚が指を動かせた。窓を開けたら外の空気が冷たくて、生活の続きと明日がはっきり見えた気がした。努力の全てに意味がないなら、尚更前を向こうと思った。僕はしっかり前を向く。信念について考える。僕は絶対に負けたくない。明日も予定があるから、暖かいお風呂に入ろうと思った。そしたらまたお布団に入って、老いた猫みたいに眠りにつく。みんなが心地よく過ごせるといい。僕たちはきっときっと、きっと。

2021-12-2 30秒後に全部消える

すごい早さで巡っていく。単調な日々は抑揚を含めて単調で、盛り上がる場所が分からない。もし星空が全部偽物だったとして、何か大きく変わるのかな。海の一番深いところに潜り込んでしまったペットボトルみたいな、そういう悲壮感とやりきれなさが風景に馴染む。僕たちが前を向こうとすると必ず誰かが目隠しをして、悪意を隠した道路標識を血管の至るところに建てていく。停滞を続ける僕らは死ぬまで交通渋滞。いろんな思いを抱えて重くて、重力は脳に作用する。幽体離脱みたいに心だけ起きて、強迫観念みたいに前に進む。オートで進むみたいな状態で、本当に前に進めてるの。星空の真偽も分からなくて、それと似たようなことだと思った。

風が心地よくなかった。毎日は飛行機雲みたいに景色に馴染んで、30秒後に全部消える。どこか遠くへ行きたいみたいな思いを、最近はあまり感じなくなった。そんなことないかも。そんなことないです。でも今日は思いませんでした。感想文を書いた部分から感情が文字に置き換わるみたいな、ずっと奇妙な気持ちだった。心理学が大嫌いだと言う高校生みたいな、そういう種類の真面目さは、生活の過程でどんどん磨り減る。いろんなことを覚えていたい。

本格的な冬だと思った。生き物の気配が静かになって、春を待つだけの化石になる。アリとキリギリスみたいに分かりやすい寓話なんてこの世のどこにも存在しなくて、全部は偶然で成り立っている。その偶然をものにしたくて、僕は毎朝顔を洗う。今日は少しだけ1人になりたかった。明日も早いからがんばろうと思う。がんばることと逃避行の違いがよく分からない。結局は何かから逃げているだけなの。分からないから考える。いつか心から笑えるといい。

2021-12-1 金魚

今日は悲しいことがあった。僕はいつも前を向きたくて、そのために日記を書いている。予測変換みたいな生活が続けばいいと思ってしまう。太宰治の斜陽みたいな、書かないことで明日に進んで、書かないことで目を開きたい。降りやまない雨は分かったつもりを描写して、晴れのことなんて忘れてしまう。雨音が妙に心に響くから、かき消すための音楽をかける。行動まるごとが暗喩みたいで、そんな気持ちになってしまう日ははやく眠ったほうがいい。深呼吸がうまく出来なくて、金魚みたいだと思った。品種改良しないでください。

金魚は水槽以外の場所では大きく育つらしい。場所に合わせて最終的な大きさが変わるのは、賢すぎるから寂しかった。でも僕たちは金魚じゃないし、水槽で生活してるわけじゃない。僕たちは自分で場所を選べるし、それをいつも忘れてはいけない。これは自分に言っています。悲しいことがあったではじまる今日の日記の冒頭のせいで、全部のことが悲しいことの表現みたいになってしまう。

書かないことで明日に進んで、書かないことで目を開く。悲しいことも過ぎ去って、いつかの記憶になると思う。今はそんなに悲しくないよ。それでも今日ははやく寝る。寒くなったので暖かくしてね。おやすみなさい。

2021-11-30 タイムカプセルみたいな言葉

11月が終わるみたいだ。暗い道を1人で歩く。ミラーは明日を反射して、明日は曲がり角の先にある。今日は少しだけ暖かい。11月が終わってしまうのか12月が始まってしまうのか、どっちなのか分からなくなって、止まれの標識の裏側で止まる。感情はその日その日で変化して、昨日のことなんて覚えない。僕たちに一貫性は必要なくて、ただ明るい方へ進めばいい。

僕は今散歩をしていて、途中で雨が降ってきた。曇ってた空が光った気がして、深呼吸して見上げたけれど、眼鏡のレンズに落ちた雨粒が車のライトに照らされただけだった。道路脇にバラが咲いていて、星の王子さまがバラに言ったひどい言葉を思い出した。生きていくなかで傷つけてしまったことも、傷ついたことも、全部を連れて大人になる。その時その時全部が正義で、なるべく許してあげるからね。雨に濡れないよう雨宿りをする。転がる空き缶を眺めていたら、遠くの方でサイレンが鳴って、気づいたらもう雨はやんでいた。ずっと雨が続いてもよかった。そしたらずっと雨宿りをする。

支離滅裂をそのまま勇気に繋げたい。忘れないために詩を描きたい。公園に埋めたタイムカプセルみたいに、いつかの力になればいい。美しい言葉があって、音楽があって、絵があって、空間があって、どれもがその時代を生きた1人の人間によって作られたものだと思うと、本当に悲しい気持ちになる。知ってる感情の全部が違って、悲しいが一番ぴったりな気がした。何かを残そうと思った一瞬の本当を掴んでゆっくり前に進む。僕たちは大丈夫かな。きっと大丈夫だよ。昔の人の残したものが暖かいのは温度の仕組みが違うからで、今の時代なりの温度の仕組みをみつけたい。未来の誰かが優しい気持ちになるといい。言葉は未来に食い込んで、手前の本当が温度をつくる。僕たちが勇気をもてるように、一番星の方角を向いてバレないようにお祈りをする。なんとかやっていこうね。

未来って明日とかも含むので、是非優しい気持ちになってください。

2021-11-29 季節について

朝が来る。何かが治まるとまた次の何かがやっきて、そういう風に発電される。感情は海みたいに不安定で、それが一番安定するのかな。波のふりして繰り返される。誰にもばれないSOSを、ばれない内に飲み込んでいく。ガラスの破片を反射させようにも雨が降ってたらどうすればいい。ヘリコプターは飛んでいなくて、森には沢山食べ物があったら僕たちは何にすがろうか。感情の波って言葉はずっと昔に一般化されて、それなら海の例えは全部コラージュになってしまうのかな。毎日思う、本当の言葉と思想ってなんだ。

今日は午前に予定が終わって、それからずっと本を読んでいた。本のなかでは6月で、アジサイは過去の象徴だった。僕は多分今6月に近い。みなさんにはすきな季節がありますか。春が苦手な人がいて、秋が大好きな人がいて、そういう人をみていると四季があってよかったと思う。僕は夏が苦手です。冷凍みかんを圧力鍋で解凍するみたいな、そういう種類の勢いがあって、どうにもそれに上手く馴染めない。でも多分無理に馴染む必要もないから、ゆっくり夏が過ぎるのを待つ。今は冬です。うれし~。すきな季節の話をしようと思ったのに、苦手な季節の話をしてしまった。すきなものを言葉にするのは難しいからだと思う。

知らないうちに日が沈んだ。最近は毎日散歩してたから、日没に気づかなかったのは新鮮だった。そういえば昨日は星が綺麗だった。今日の星も綺麗だとうれしい。お風呂に入ったら少し散歩しようと思った。毎日はあっという間に過ぎていって、僕たちは景色の一部になる。それが嫌だから歌をうたって、それが嫌だから文章を書く。今も太陽は沈み続けて、僕らもそれなりに生活をしてる。前を向きたい。いつも前を向きたいって思っていたい。僕たちは前を向けるかな。分からないことばかりを生きて、僕は絶対に負けたくない。しっかりやっていけるといい。