2021-12-3 僕たちはきっと

金魚の夢をみた。

僕のなかの不甲斐なさややりきれなさは、どうやら金魚の形をとる。今日は少し疲れていて、午後からの予定を休みにした。それからずっと眠っていて、金魚の夢をみた。僕は海岸を歩いていて、その海岸は酷く寂しい場所だった。環境音がなくしんとして、小綺麗さが不気味だった。知らない人が等間隔に立っていて、水平線の先をみてた。誰も少しも動かなくて、僕が並ぶスペースも空いていた。まだ歩きたいって思ったから、その一員になるのはやめた。

しばらく歩いていると、海岸はぐちゃぐちゃになってくる。地球の岩石が露出して、あり得ない場所に木が生えていた。そのとき僕はマムシが怖くて、歩く速度があがっていく。どこかにマムシがいたわけじゃないけど、どうしてもマムシが怖かった。

注意深く歩いていると、岩の隙間には金魚がいた。どうやって入り込んだのか、水はなくてピチピチ跳ねていた。跳ねるだけ無駄だと思って、悲しかった。でもどうしても助ける気にはなれなくて、映像をみるみたいに眺めた。その行動は水平線の先をみてた人々を想起させた。

金魚は粘った。ずっとずっとひたすら跳ねて、ついに偶然をものにした。何かの拍子で隙間からでて、そのまま近くの池に落ちた。池のなかには他の金魚もいて、隙間の金魚は目的を達成したのだと思った。もう一度隙間をみてみたら、隙間はさっきより大きくなってて、別の金魚が跳ねていた。大きな金魚で、それでもいつか隙間からでるのだろうと思った。意味のない行為の象徴みたいで、意味のなさに落ち着いた。僕はずっと苦しかった。

今日の日記は休もうと思っていた。目覚めた僕に金魚は住み着いて、金魚が指を動かせた。窓を開けたら外の空気が冷たくて、生活の続きと明日がはっきり見えた気がした。努力の全てに意味がないなら、尚更前を向こうと思った。僕はしっかり前を向く。信念について考える。僕は絶対に負けたくない。明日も予定があるから、暖かいお風呂に入ろうと思った。そしたらまたお布団に入って、老いた猫みたいに眠りにつく。みんなが心地よく過ごせるといい。僕たちはきっときっと、きっと。