2021-11-28 信じたいものだけ

決められた場所へ確かに進む。僕は今電車に乗っていて、夕陽の方へ運ばれている。往復する電車が探し物をしているみたいで、昨日へ戻りたいのかなと思った。駅で乗ってくる人たちの服装が凍えから身を守るものに変わっていて、景色は一層凍えてみえた。僕はいつも寒い話をしているけど、実際のところ毎日寒いし、これは日記だから仕方がない。電車の微妙な暖房と、窓から入る冷気と混ざって、幼い頃に家族とアウトレットに行ったことを思い出した。寒くて寒くて、それでもお店は暖かいから、興味のないお店のなかで買われていく服をただ眺めてた。感覚と記憶は結びつきやすい。大切なことはもう終わっていて、あとはそれを思い出すだけだと言われたら、なんとなく納得してしまいそうになる。記憶の川をただ漂って、偶然引っ掛かった流木みたいな出来事を、なるべく大事に眺めたら、またゆっくりと川へ流す。川の流れは止めないよ。また巡り会えるといい。

音楽が流れる。自分が信じる音を奏でるのはやっぱりかっこいいと思った。苦悩や葛藤は隠さなくて、信じるものを信じれたらいい。今日は野外のフェスに来ていて、音楽は世界を支配していた。ゆっくり流れるギターの弦と喉が揺れて、酸素の代わりに空間を満たす。揺れるのはそれだけじゃなかった。僕がいつも思っている勇気に近いものを感じて、嬉しくなった。僕たちは1人でじゃないね。場違いなチャイムと、飛行機の音が大きく響いて楽しかった。似合わないものは綺麗にみえて、だから星空は綺麗だった。拍手の音は感動とは比例しないことが分かった。いろんな価値観が存在して、1人1人が信じるものをうたって、そうやって地球は回っていく。

今日はいい1日だった。最近はずっと忙しかったから、気分転換ができた気がする。明日からもしっかり前を向く。がんばるぞ。

2021-11-27 記憶と∞mプール

一番星が綺麗だった。空気は尖って町全体が呼吸していた。飛行機のライトが道しるべみたいで、それを追いかけて歩く。ブレーキライトで赤く染まった18:30の渋滞と、明日のみえない詰まった日々を重ね合わせて目を閉じる。一度閉じた目を開けたら、景色はもっと寂しくなっているような気がして、なかなか開けることができなかった。冬はあっという間に暗くなる。みえないから怖いのに、みたくもないのはどういうことだ。

小学校のプールの授業で1人だけ印鑑を忘れたみたいな、そんな無力感に襲われる。教室にクーラーはつかなくて、体操座りで夏を眺める。住宅街を横切ったとき、楽しそうにテレビをみている家族の声が聞こえた。市民プールに行っても多分何も意味はなくて、でも時々、そういうことをしそうになる。何もは言い過ぎたかも。僕はずっと同じ夢をみている。夢には空気が冷凍保存されていて、ゆっくり脳みそに溶けていく。夢の話はやめようと思った。僕たちがみるのは今だけで充分だと思う。

充分って難しい言葉だ。もしも充分が存在するなら、僕らが悲しい意味ってなんだ。でも簡単な言葉ってあるのかな。もしも本当の言葉が存在するなら、言葉全てが崩壊したあと、なんとか意思を伝えるために出したはじめの呻き声だけだ。それでも言葉がないと生きていけないから、言葉がないと苦しくなるから、本当を目指して言葉を使う。道しるべみたいな飛行機を、追いかけなくても僕らは進みたい。

僕は絶対に負けたくなくて、だからしっかり前を向く。気付けみたいな冬の風と、頭痛薬みたいな月の光で、ようやくゆっくり息をする。僕たちはしっかりやれている。僕もきみも大丈夫だよ。大丈夫かな。大丈夫だよ。最後に大きく町を眺めたら、振り返らずにお家に帰る。

2021-11-26 心の町に降りそうな雪

マイペースに生活をする。快晴の再現みたいな安っぽい空が冷たい空気を運んできた。最近は寒くて嬉しい。僕は寒いのがすき。気温が下がると気持ちが凍るから、今何を思っているかがよく見える。気持ちの先まで見渡せて、だから前を向きやすい。空気は澄んで遠くの山がはっきりみえる。遠くの山みたいな気持ちと目の前の電信柱みたいな記憶が重なって、心は町みたいだと思う。血液は自動車で。町の交通はゆっくり動いて、しっかり約束を守ろうとする。誰か1人でも変に動いたら町がめちゃくちゃになってしまうのは、どう考えても奇妙な気がした。

黄色の信号を走って渡る。青でも赤でも多分だめで、僕はいつも黄色を進む。これは比喩です。インターネットに配慮する。知らない人と話していると多くの人が言葉を平気で使うから、僕らは配慮しすぎているのだと気づく。それでも優しくいたいから、このままでいいと思う。このままでいいよ。いろんなことを考えている。いろんなことを考えている。思想は伝染性だから、やっぱり過程が大切だと思った。思考と経験は複雑で、1人1人に意味があって欲しい。

枯れ木が毛細血管で、地球を咲かせているのかと思った。枯れ木だと思ってた街路樹が、本当は空を咲かせていたとしたら、その街路樹は大切にしなければならないと思う。見分け方ってあるるのかな。でも枯れ木も絶対に大切で、優先順位ってなんだ。いろんなことが分からない。難しいことが多すぎる。多分僕たちは小さすぎるから、分からないのは当たり前だろうな。明日は珍しく忙しくない。雪が降りそうな夕方だった。

僕は雪がすき。雪の白さが特別なのは、今までのぜんぶを忘れてないから。いろんなものが混ざりあって、黒にはならない加法混色。弱めの雪が降って欲しい。空を見上げる。飛行機みたいな冬の音がして、ようやく深呼吸ができた。みんなが優しい気持ちで過ごせるといい。遠くで犬の声がする。僕も優しい気持ちで過ごせるといい。きみも祈っていてください。マイペースに生活をする。湯船にお湯を沸かしたら、世界の平和を祈って夜。

2021-11-25 寝不足

青空が続く。空気が澄んで、風が吹く。変な形の雲が動いて、鳥の鳴き声が聴こえる。僕は対称的で深刻な寝不足です。眠すぎる...。昨日はいつもより忙しくて、今日はいつもみたいに早かった。朝の日差しは嬉しくなくて、嬉しいことはひとつもなかった。僕はいつも寝不足で、いつもお腹を空かせている気がする。それでも眠れる訳でもなくて、いっぱいご飯を食べれもしなくて、だから文章を書いている。いつもいろんなことを忘れてしまう。最近はほんの少しだけ覚えていられるようになったけど、それでも多くを忘れてしまう。重たい体に音楽は響かずに、海辺で止まるカモメみたいに揺れる。

窓のない部屋が暑かった。空気がこもって悲しい気持ちが下にたまる。温室特有の匂いと、埃と、どこまでも響く物音が、一種の道徳の完成形みたいな顔をして、確かに堂々とそこにあった。本当に暑くて、早くでたかったです。作業が終わって部屋をでる。ゆっくり扉を閉めてみたら、部屋が壁の一部みたいになった。始めから存在しなかったみたいな、そんな切なさがあった。これって僕らのことですか。

クジラみたいに息継ぎをする。深く潜ったらその分のぼる。信念みたいなものだけ持って、それをずっと繰り返す。深く潜る意味なんてなくて、だけど深く潜り続ける。数え切れないオキアミを食べて、穏やかみたいなふりをする。優しいってどういうことだと思いますか。僕はしっかり前を向いて、しっかり自分の足で歩く。息継ぎのため水面に戻ったら、もう二度と潜れないような気がするせいで、非効率的な潜水を続ける。明日も生きる。

2021-11-24 待合室と南極の氷

洗濯機みたいに地球が回る。洗剤の変わりに酸素を作って、人間関係がネットになる。何を落とすために地球は回る。落とされたものはどこへ消える。墓標みたいな南極の氷に、歴史のどうしようもなさを思う。固まって溶けてまた固まって、ペンギンたちの国ができる。ガスの匂いが空気と凍って、雪が降りそうなくらい冬だった。今日は早くから病院に行って、午前のうちに家に帰った。南極みたいな待合室に、クラシックが流れていた。凝縮された冷たい温度が、内から世界に広がって、何年も昔にタイムスリップしたのかと思った。心の時代が反映されるのなら、僕たちは少し昔なのかも。放課後みたいな自由と憂鬱でただ、名前を呼ばれるのを待つ。

密漁者みたいに夕暮れを歩く。太陽の隙をみて月を捕まえる。僕たちはそうやって明日へ潜る。星がみたくて空を眺めて、今日も空は曇っている。眩しすぎた飛行機は涙みたいで、挙動が少しおかしかった。僕たちがいつか笑えるといい。川の向こうの住宅の明かりが、生活の全てを肯定してくれるような気がした。同時に生活以外の全てを否定しているようで、少しだけ寂しかった。堤防沿いで夕日に落ちた僕の影はゆっくり伸びて、南極の氷にまで届いた。僕は今日、3度も南極について考えた。

しっかり前を向く。どうしようもなかった選択も、いつかの逸話にしてあげる。いつも通りで明日も早くて、生活の速度は加速していく。今日はもう少しやることがあるから、日付を跨いで頭を動かす。部屋が静かで、時計の音だけが自由に走る。世界の心音みたいだと思った。時計は世界の心臓の音で、均一なのが不気味だった。それでも世界にしてみたら、リズムがずれる僕たちのほうが不気味なのかもしれないね。僕たちは不気味なのかな。溶けてしまう氷の上を、必死に滑るペンギンみたいな気持ちになる。後ろからはシロクマがきて、海のなかではシャチが泳ぐ。ずれたリズムはカウントダウンで、ゆっくりゆっくり氷を溶かす。これで4度目です。南極の話。

2021-11-23 尻尾を追いかける犬みたいな

今日は風が強かった。寝転んだ未来みたいに分厚い曇と、その隙間からみえる空には、なにか重大な秘密が隠されているような気がした。ゆっくり雲が動く。それにあわせて目線も動く。空が高くて嬉しかった。振り返ると今日も忙しかった。僕らはいつも何かに追われて、いつも何かを追っている。尻尾を追いかける犬みたいな、影に驚く子供みたいな、分からないことは多すぎる。僕はいつも何を追って、何に追われているのかな。

道路には石が転がっていたから、蹴るつもりで近づいたけど、最後は結局蹴らなかった。近くに車があったから。多分蹴るつもりで近づくことが大切なのだと思う。世界の全ては過程だから、明日の僕が石を蹴る。本当の意味は過程に眠って、過程のないものはいつも不気味だ。今日も気をつけて家に帰る。明日の僕は石を蹴らないといけない。

いつもより少し大股で歩いた。響く足音がコード進行で、鳥の鳴き声がメロディだった。詩は僕の日記で任せてください。変な看板の写真を撮ろうとして、撮らなかった。本当に変だったけど、しばらく歩いたら忘れてしまった。忘れてしまった感情も、日記の一部で足場になる。だからいつも優しくいたい。消えたものへの餞別みたいな、前を向くために優しくいたい。みんなが居心地のいい日々を過ごせるように、深呼吸ができるように、一番星に祈っておいた。だから明日も大丈夫だよ。今日は風が強かった。昨日の水たまりも吹き飛ばされて、マフラーは渇いても、元に戻った訳ではない。

2021-11-22 ただ雨が降り続ける

雨のなかを、水たまりを避けて歩く。暗い道で街灯を避けて歩く。何が怖いかも分からないから、なるべく曇に隠れていたい。今日は傘をさして歩いた。雨の音が居心地悪くて、遠くの建物をただ眺める。星も月もみえなくて、ただ町に雨が降っている。全部の言葉にただがつくみたいな、そんな雰囲気の雨だった。今日も地球はただ回って、僕たちはただ前を向く。心情描写のふりした雨が、悪意みたい靴を濡らす。

パンダの標識の模様が、平凡な日々の柄みたいだった。パンダとしてやっていこうかな。でも竹だけ食べてるわけにいかなくて、だから少しだけ疲れてしまう。傘を持つ手が冷たくなった。雨宿りをして日記を描く。僕の言葉が届くといいけど、雨の音でかき消される。きみの声が響くといいけど、雨の音とはどう見分ける。世界は寡黙に機能して、ただ雨が降り続ける。

こんがらがった生活は、マフラーみたいだと思った。暖かくても無防備で、いつか首も絞まるのだろう。いずれどこかがほつれたら、なかったことになるのだろか。そろそろマフラーの季節だ。考えごとして傘をさして、車に水をかけられた。想像上のマフラーは、本当によく水を吸うから、ちょっとの量で沈没する。溺れてしまいそうになったから、なんとかしようと少し走る。魚になったみたいだった。パンダじゃなくてイシダイなのかも。

僕は絶対に負けたくなくて、だからしっかり前を向く。今日もしっかり息をして、明日もしっかり息をする。無事に帰宅できました。ただ眺めてた遠くの建物が生活すべての暗喩みたいで、明日を思うと寂しかった。雨は別に止まなくていいけど、なるべく優しく降ってほしい。今日もゆっくりお風呂に入る。心地のいい雨音で眠って、目が覚めたとき、世界は沈んで平等になる。そんなことを思いながら、明日の予定を確認する。お水を飲んで、目をつむる。外ではただ雨が降り続ける。